RESEARCH

Research

ネットワーク情報システム研究室(小板研究室)では、IoT、AI、VR/AR、DX、データサイエンス、科学技術計算など、すべてのITサービスの中心となるクラウド(cloud:雲)環境により、世界中に分散された情報、サービス、能力、人、デバイスなどのあらゆる資源を統合し、コンピュータとネットワークの本当の力を、誰もが、いつでも、どこでも、容易に活用できる、新しい分散システムに関する研究を行っています。また、クラウド環境のコンピュータの力だけでは、決して解決できなかった問題に対しても、クラウド(crowd:群衆)ソーシングによる人間の力と、AIやIoTのコンピュータの力を融合し、次世代の cloud/crowd システムに関する研究を行っています。ネットワーク/システムレベルからアプリケーションレベルまで幅広い研究対象に取り組み、研究成果の事業化により、本当に役に立つ、評価される研究成果と、研究と事業化を通した学生の活躍と成長を目指しています。

Cloud Computing : コンピュータの力

クラウド(cloud)は、膨大な数のコンピュータの処理能力をネットワークを介して、空にある雲から降り注ぐように、あらゆるITサービスを利用できる仕組みです。DX(デジタルトランスフォーメーション)・Web・IoT・AI・VR/ARの分野などで汎く用いられ、ゲーム・金融・ECなどのITサービスにとって、クラウドは不可欠なものとなっています。日本政府やメガバンクのITサービスも、すべてクラウド化が進められています。一方、クラウドを十分に活用し、コンピュータの処理能力を適切に使うためには、コンピュータ・サーバ・ネットワーク・セキュリティ・サービス・コストなどについて、研究により可能性を拓き、多くの技術課題を解決していくことが強く求められています。当研究室では、これらの可能性と技術課題に着目し、世界中に分散されたクラウドによるコンピュータの力を、実際に使える技術として実現するべく研究開発に取り組んでいます。

Crowdsourcing/Human Computation : 人間の力

クラウド(crowd)ソーシングとは、スーパーコンピュータや最新のAIでも解くことのできない問題を、たくさんの人間(群衆)の力を使うことにより解決する新しいITの仕組みです。例えば、レシートの画像は、AIによりほとんど正しく文字認識できますが、文字が表す費目・項目の区別はできません。また、スポーツでもビデオ判定が用いられますが、スーパーコンピュータを使っても正しい判定はできません。いずれも人間ならば、簡単に正しい答えを出すことが可能であり、その仕組みをシステムとして実現するのがクラウドソーシングやヒューマンコンピューテーションです。また、正解を見つけられないAIに対し、人間ならではの正解を与えるためにも用いられ、新たな情報処理技術の枠組みとして、近年多くのベンチャーが急成長している分野でもあります。当研究室では、人間に与える問題を適切に見つけ出し、人間の答えの中から妥当である答えを判断する方法に着目し、AIでは決して到達できない、新しい処理方式に関する研究に取り組んでいます。特に、ベンチャー企業と密接に連携し、事業化としての可能性を切り拓いています。

IoT/UAV : リアル世界

IoT(Internet of Things)とは、モノのインターネットと呼ばれるように、現実社会のすべてものに、通信可能なセンサーやデバイスを装着し、UAVやインターネットを介して通信することにより、人や社会の詳細な情報を収集し、その情報をもとにサービスを提供する仕組みです。現時点では、位置情報や心拍数などの簡単な情報のみが使われていますが、そう遠くない未来には、身の回りのあらゆるモノにIoTが利用され、現実社会そのものがコンピュータの世界と統合されていきます。現実での繋がりが減ってきている今、失われた何かを、IoTにより豊かにすることを目標とし、当研究室では、働き方や学び方を中心にIoTの対象とし、現実社会とコンピュータの創り出す、よりよい未来の社会の実現を目指しています。

AI:人間・コンピュータ・リアル世界の融合

AI(Artificial Inteligence:人工知能)は、人工的につくられた、知能を持つ実体、あるいはそれをつくろうとすることによって知能自体を研究する分野です(はこだて未来大・中嶋先生の定義)。当研究室では、クラウドコンピューティング(コンピュータ)、クラウドソーシング(人)、IoT(リアル社会)を融合する技術として、AIの研究に取り組んでいます。現在、DXやAIが注目されていますが、多くの場合、ある程度いいところまで結果を出すが、すべての結果やプロセスの精度や信頼性が十分でないため、もともと単純な作業か失敗が十分に許容できる対象にしか利用されていません。また、公開されているAIサービスの裏側でも、人による総チェックなどが数多く行われています。本来AIは、人の作業とコストを軽減すべき技術であるはずですが、ほとんどそれが実現されていないのが現状です。当研究室では、どこまでをAIに任せ、どこまでを人に任せるか識別し、適切に融合することにより、AIを実環境で利用できる技術の研究開発に取り組んでいます。