こんにちは。M2の板野です。
今回は私を含む小板研の一部メンバーが取り組んでいる農業労働力支援アプリの開発プロジェクトについてご紹介します。
背景
この活動を始める背景として、同志社大学商学部 大田原ゼミとの関わりがきっかけでした。
商学部大田原ゼミのとある班では「マッチングサービスを用いた農業労働力マッチングの可能性」を研究テーマとし、農業労働力支援を行うことで農業の人手不足を解消することに取り組んでいました。
研究を進めていく中で、農業の労働力支援事業を行っている「JA 全農おおいた」と「株式会社菜果野アグリ」にご縁があり、実際に大分県へ現場視察をすると、人手不足や業務の属人化といった労働力マッチングサービスの実態を目の当たりにし、煩雑な業務の削減に向けて、業務の一部を自動化するシステム開発の活動を始めたそうです。
ところが、文系学部である大田原ゼミのゼミ生では開発の技術力を補えず、開発の技術を持ち合わせた理系学部である小板研にお声が掛かり、商学部と理工学部の共同研究として取り組むことになったというのがこのプロジェクトを始動する経緯です。
視察の概要
既に大田原ゼミのメンバーは何度か大分へ視察に行っており、属人化された業務の実態を把握していましたが、小板研としても現地に赴いて実態を把握しておきたいという想いから、両研究室合同で視察に行ってきました。以下概要です。
- 期間: 2023/9/20-9/21
- 場所: JA全農おおいた, JAおおいた集選果場
- 内容: 選果場見学, ヒアリング
内容:選果場見学
かぼす、ピーマン、ニラ、三つ葉の選果場を見学しました。機械の導入も一部進んではいますが、未だに手作業で行っている仕事がたくさんあり、それらの仕事を1つ1つ見学させていただきました。
以下見学で得られた知見です。
- 選果場も人手不足が深刻
- 作物は収穫時期の関係から、継続した雇用ができない
- 「必要な時に必要なだけの人員が欲しい」というのが農家の都合
- その結果、安定した雇用を提供できる工業系の仕事に人材が流れがち
- この性質を生かし、「農作業未経験者でも体験的に参加できる」や「日雇いで合わなければ次は来なくても良い」というような労働者側の都合を考えたスポット雇用を推進できれば良い
- 作業を機械化しても費用対効果が得られない
- 何億もの機械を導入しても人間の作業はどこかで必要
- 全ての作業を機械化するには莫大なお金が必要
以上から、農作業のどこかで必ず人手は必要であり、人手不足の厳しい現状の中で「働く人の都合」と「農家の都合」をうまくすり合わせできるようにすることが、JA 全農おおいた と 株式会社菜果野アグリが行っている事業なのだと分かりました。
内容:ヒアリング
JA全農おおいたの建物にある会議室にお邪魔して、ヒアリングを行いました。
以下にヒアリングで分かったことをまとめます。
- どこの仕事場にどの人員を配置するか(「番割」と呼ぶ)を決めるのは全て手作業
- 労働者の適正や希望等を考慮し、毎日の番割を決めるのは大変な作業
- 当日の朝に欠員が出た場合、一部番割の組みなおしが発生するので大変
- 番割作業を手作業からデジタルに移行したい
- 過去に労働を経験した人のデータを蓄積しておきたい
- 菜果野アグリに人を集めるために以下の3つの特徴をアピールしている
- ①現金日払い
- ②好きな日時に働ける
- ③作業場所への送迎
- これからもっと菜果野アグリに若者を呼び込んでいきたい
- 9割本業・1割農業(91農業)の割合でもいいから、ちょっとだけでも農業に参加して欲しい
etc…
他にも、ブログに書ききれない程のたくさんの質疑や議論を行いました。ヒアリングを受け、今後の人材流入を見据えた場合、先ずは番割担当者の負担を減らすための農業労働力支援アプリの開発(具体的には、番割のシステム)が必要であると感じました。
今後の見通し
私たちは現在、「AGRI-PASS」と称した農業労働力支援アプリを開発中です。
以下のような機能を順に開発しており、まずはプロトタイプ完成を目指しています。
AGRI-PASSが農業労働力支援に大きく貢献できることを目標に、私たちは日々活動に取り組んでいます。